環境の毒性物質等によるリスク評価には、暴露量の予測や対象となる個々の化学物質の環境中の挙動や動態、消長を予測するモデルが必要です。また、毒性影響のためには、個々の物質の生物への影響に関するデータが必要です。
私が生物試験方法と出会ってから30年以上が経ちましたが、環境動態モデルはGISやリモートセンシング等の技術が発達してきましたし、個々の化学物質の生物影響は水系陸系合わせて全部で33種を数えてます(OECDガイドライン)。
今後はこれらの生物試験技術が更に発展し、データの蓄積や法整備等を促し、日本に適合した総合的リスク評価手法を開発しなければなりません。そのうえで複合影響や毒性影響等を考慮したよりユーザーフレンドリーなリスク評価ツールも求めれています。
これからの日本のインフラや科学技術は、従来のような機能障害を起こさないことを前提にするのではなく、ひとつ機能が動作しなくなった時に他の方法で補完するシステムや、回復力を考慮したシステム構築が必要です。よく使われる「想定外」という言葉は、ある種の逃げかもしれません。
このように考えると、水処理技術がここまで進歩した日本では、本研究会が考究するWETは重要な意味を持つと思います。