4.国内・諸外国の動き
WETは国内外で既に動き出しています。
国内の動き
環境省は、2009年(平成21年度)から「今後の水環境保全に関する検討会」を立ち上げています。
その中で、新たな排水管理手法の導入を検討しており、「生物応答を利用した排水管理手法等の有効性について検討すべき」との方針を打ち出しています。
更に、同じく2009年4月に、WETを活用した排水管理手法の検討を開始し、2014年度の法規制(法制化)も視野に検討が進められています。
また、専門家による「生物応答を利用した水環境管理手法の制度・運用分科会」を設置し、生物応答手法の導入に向けた①生物応答の導入の在り方、②生物応答手法導入の具体化に向けた枠組みについても検討されています。
WET手法に関連する新聞記事
- 新たな市場でビジネス拡大へ(2014年1月8日:環境新聞)
- 生物応答(バイオアッセイ)を用いて排水中の化学物質による生物影響を調べる試験法(日本版WET)の活用に向け、環境省が本格採用に動きだし、分析機関は着々と体制を整えています。
- 分析各社が受注開始(2013年12月4日:環境新聞)
- 排水中に含まれる複数の化学物質が生物にもたらす影響をミジンコなど3種の生物を直接ばく露して評価する手法(WET=全排水毒性)について、複数の分析機関が排水試験の受注を始めました。
諸外国の動き
WETは、すでに多くの国で実用化されています。
- 米国
- 1984年に国家汚濁物質排出削減計画の中で「WETと個別化学物質分析の併用」を提唱し、1995年にWET試験方法の公布、2002年に修正されたWET試験方法の公布が行われ、州レベルで導入が進んでいます。環境保護庁(USEPA)が定めた試験法に基づいて排水の生物影響評価を行い、判断基準を超えた排水は毒性の削減が義務付けられ、毒性の評価から削減対策の検討、検証、実施までが定式化された対応を行っています。
- カナダ
- 1998年からセント・ローレンス・アクションプラン(SLAP)により5年間で有害排水の90%削減を目標とし、更に1992年から環境影響モニタリング(EEM)の提出を義務化しバイオアッセイによる未知混合物の評価を進めています。
- 英国、北欧諸国など
- 米国と同様の手法を用いた排水管理が行われています。
- 韓国
- 2011年1月1日から生体毒性管理制度として法令を施行し、個別物質管理手法とWET手法を補完的に組み合わせて実施しています。
- 日本
- 海外に工場を持つ企業の中には既にWETを導入し、国内の制度導入を見込んで排水調査対策に取り組んでいる企業もあります。