工場や事業場からの排水には、多様な化学物質が含まれている可能性があります。そこで、わが国では有害性が強い化学物質に基準を設定して、個々に規制する方法がとられています。つまり、排水に含まれている有害な化学物質をひとつひとつ確かめて(同定する、と言います)、排水の毒性を調べるのです。
しかし、化学物質は、現在流通するだけでも2万種を超えています。科学技術の発展に伴い、その数はますます増加する傾向にあります。よって、すべての化学物質の有害性を把握することは時間もかかりますし、費用も膨大になってしまいます。
もし、新規に製造・輸入された化学物質に有害性があった場合で、まだその性質が把握されていなかったら、どうでしょうか?また、ひとつひとつは無害な化学物質が複数存在する場合、それらが何かの反応によって有毒になっていたら、どうでしょうか?知らず知らずに川や海を汚し、水辺に住む生物や私たちの生活を脅かすかもしれません。
日本で、世界で、化学物質がどんどん開発されています。CASのホームページでは、登録数の増加を目で確かめることが出来ます。
CASとは、ケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstracts Service)のことで、100 年以上にわたって世界中の化学の情報を集めて研究者に提供している情報サービス機関のことです。登録システムは世界最大の化学物質辞書です。